「勉強しなさいって言われると、やる気がなくなる」。子どもにそう言われて、思わず言い返したくなった経験はないでしょうか。言わずにすむなら言いたくない。でも、テストが近いのにゲームをしている姿を見ると、つい口から出てしまう。多くの保護者の方が、そんな気持ちの間で揺れていると思います。
まず最初にお伝えしたいのは、「つい言ってしまう」のは、お子さんのことを真剣に考えているからこそだということです。そのうえで、同じ気持ちを少しちがう言葉で伝えるだけで、子どもの受け取り方が変わることがあります。この記事では、よくある声かけの言いかえ例と、その背景にある子どもの気持ちを考えてみます。
言いがちな言葉と、言いかえの例
言いかえのコツは、大きく分けて3つあります。「命令」を「質問」や「相談」に変えること、「結果」より「行動」に目を向けること、そして「いつも」「全然」といった決めつけの言葉を避けることです。
| つい言いがちな言葉 | 言いかえの例 | ねらい |
|---|---|---|
| 早く勉強しなさい | 今日は何時から始める予定? | 始める時間を本人に決めてもらう |
| いつまでスマホ見てるの | あと何分で区切れそう? | やめるタイミングを自分で選べるようにする |
| なんでこんな点数なの | どの問題がいちばん悔しかった? | 責めるのではなく、ふり返りのきっかけにする |
| 〇〇ちゃんはもっと頑張ってるよ | 前のテストより、ここは良くなったね | 他の子ではなく、本人の過去と比べる |
| いつもやる気がないんだから | 今日は疲れてる? | 決めつけず、今の状態をたずねる |
| 勉強しないと将来困るよ | 将来、どんなことができたらいいと思う? | 不安でなく、本人の希望から話を始める |
| そんなこともわからないの | どこまではわかってる? | わかっている部分から一緒に確かめる |
| (勉強していても)ちゃんとやってるの? | 今日はどこをやったの? | 疑いではなく関心として伝える |
もちろん、言いかえれば必ずうまくいくわけではありません。返事がそっけなかったり、まったく反応がなかったりすることもあるでしょう。それでも、責められていないと感じられる言葉は、少しずつ子どもの心に残っていきます。
「やる気が出ない」の背景にあるもの
声かけを変える前に、ひとつ考えておきたいことがあります。それは、勉強に向かえない理由が、必ずしも「やる気がない」とは限らないということです。いくつかの代表的な背景を見てみましょう。
体や頭が疲れている
中学生の毎日は、授業、部活動、塾や習い事、人間関係と、大人が思う以上にエネルギーを使っています。帰宅してすぐ横になってしまうのは、怠けているのではなく、単純に疲れているのかもしれません。たとえば、夕食後や入浴後など、少し回復してから始めるほうが集中しやすいケースもあります。
何から手をつければいいかわからない
授業の内容がわからなくなっていると、机に向かっても何をすればいいのかがわからず、手が止まってしまいます。「やる気がない」ように見えて、じつは「わからないことが不安で、向き合いたくない」という状態のこともあります。この場合、必要なのは叱咤激励よりも、つまずいているところを一緒に見つけることです。
勉強する理由が見えない
「なんのために勉強するの?」という問いに、すぐに答えられる中学生は多くありません。将来の目標がはっきりしていなくても、それは自然なことです。大きな目標でなくても、「次のテストで数学だけは平均を超えたい」「行ってみたい高校の文化祭を見に行く」など、手の届く小さな目標が見つかると、気持ちが動きやすくなることがあります。
自分で決めたい気持ちが強くなっている
思春期には、人に言われたことに反発したくなる気持ちが強くなるのは自然な成長の一部です。「今やろうと思っていたのに」という言葉は、言い訳に聞こえるかもしれませんが、本人にとっては本心であることもあります。言いかえ表で「質問」の形が多いのは、決める役を子どもに渡すためです。
言葉以外にできること
声かけそのものを減らすのも、ひとつの方法です。たとえば、勉強の予定を週に一度だけ一緒に確認し、あとは本人に任せる、という家庭もあります。毎日の「やったの?」が減ると、子どもも保護者も気持ちが楽になることがあります。
また、勉強していないときに声をかけるより、勉強しているときに気づいて声をかけるほうが、効果を感じやすいという見方もあります。「集中してるね」「その問題、難しそうだね」といった短いひとことで十分です。
完璧な声かけでなくていい
ここまで読んで、「わかっていても、忙しいとそんな余裕はない」と感じた方もいると思います。それで当然です。仕事や家事で疲れている日に、いつも穏やかな言葉を選ぶのは簡単なことではありません。
つい強く言ってしまった日は、あとで「さっきは言い方がきつかったね」と伝えるだけでも、関係は十分に立て直せます。表の言いかえ例も、全部を使う必要はありません。ひとつだけ「これなら言えそう」と思えるものを選んで、試してみてください。親子で少しずつ、ちょうどいい距離感を見つけていければ、それで十分です。
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