「小学校の英語は楽しかったのに、中学に入ったら急に難しくなった」。そう感じる中学生は少なくありません。これは気のせいではなく、小学校と中学校では英語の学び方そのものが変わるからです。
小学校では、3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で教科としての「外国語(英語)」を学びます(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」)。授業の中心は「聞く」「話す」で、「書く」はアルファベットや身近な語句を書き写す程度にとどまります。
一方、中学校では「読む」「書く」も本格的に評価されます。定期テストでは、単語のつづりを正しく書けるか、語順どおりに文を組み立てられるかがはっきり点数に表れます。学ぶ語数も、小学校の600〜700語程度に対して、中学校では1,600〜1,800語程度が加わります(文部科学省「小学校学習指導要領」「中学校学習指導要領」(平成29年告示))。
この記事では、中学3年間でつまずきやすいポイントを学年順に並べた「つまずき年表」と、それぞれの対策を紹介します。中学生のみなさんは自分が今どこにいるかを確かめながら、保護者の方はお子さんの学年の少し先を見ながら読んでみてください。
中学英語の「つまずき年表」
単元の順番は教科書によって多少異なりますが、おおよそ次のような流れで進みます。
| 時期 | 主な学習内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 中1・前半 | アルファベット、単語、be動詞、一般動詞 | 単語のつづりが書けない/語順が日本語のまま |
| 中1・後半 | 三単現のs、複数形、疑問詞、過去形 | sの付け忘れ/不規則動詞の過去形 |
| 中2 | 未来の表現、不定詞・動名詞、比較、受け身 | 比較の形の使い分け/動詞の形が増えて混乱 |
| 中3 | 現在完了、後置修飾、関係代名詞、間接疑問文 | 長い主語・長い文の構造が読み取れない |
中1・前半:単語のつづりと語順
最初の壁は「聞いてわかる単語を、書けない」ことです。小学校で耳から覚えた単語も、中学ではつづりまで求められます。もう一つの壁が語順です。日本語は「私は テニスを します」ですが、英語は「I play tennis.」と、主語のすぐ後に動詞が来ます。
- 対策:単語は「見る→声に出す→書く」を1セットにします。目で見るだけで終わらせないことが大切です。
- 対策:英文を書いたら、主語に下線、動詞に二重線を引いて「主語+動詞」の順になっているか確かめます。
中1・後半:三単現のsと過去形
主語が三人称・単数で現在の文のとき、一般動詞にsやesを付けます(He plays tennis.)。ルール自体は短いのに、テストでは付け忘れが目立つ単元です。さらに過去形では、played のような規則動詞に加えて、went(go)、saw(see)のような不規則動詞を一つずつ覚える必要が出てきます。
- 対策:英文を書き終えたら「主語は誰? いつの話?」と2つだけ自問する習慣をつけます。
- 対策:不規則動詞は「原形—過去形」を声に出して唱え、1日5個ずつなど小分けにして覚えます。
中2:比較と、増えていく動詞の形
比較では、tall—taller—tallest のように -er/-est を付ける語、beautiful のように more/most を使う語、good—better—best のような不規則な語があり、使い分けで迷いがちです。また、不定詞(to+動詞の原形)、動名詞(動詞のing形)、受け身(be動詞+過去分詞)と、動詞の形が一気に増えます。
- 対策:比較は「原級・比較級・最上級」を表にして、自分で書いて埋めるノートを作ります。
- 対策:新しい形を習ったら、教科書の例文を1つ丸ごと暗唱します。ルールの説明より、例文のほうが記憶に残ります。
中3:長い文の構造
中3では、関係代名詞や後置修飾によって「the boy who is playing tennis(テニスをしている男の子)」のように、名詞の後ろから説明が付く文が増えます。単語の意味はわかるのに文全体の意味が取れない、という状態になりやすい時期です。
- 対策:長い文は、説明のかたまりを( )でくくり、主語と動詞を先に見つけてから読みます。
- 対策:中3の内容でつまずいたら、中1・中2の語順や動詞の形に戻って確認します。多くの場合、原因は前の学年にあります。
毎日できる具体的な練習法
音読は3段階で
- 見ながら読む:教科書の本文を、意味を確かめながらはっきり声に出して読みます。
- 音声に合わせて読む:教科書の音声を聞きながら、少し遅れて同じように読みます。発音やリズムが整います。
- 顔を上げて言う:1文を見て覚え、顔を上げて言ってみます。言えた文は「使える文」になっています。
書き取りで「書ける」を確かめる
音読した本文の音声を1文ずつ止めながら、聞こえた英文をノートに書きます。書き終えたら教科書と見比べ、間違えた箇所に赤で印をつけます。つづり、語順、sの付け忘れなど、自分のミスのくせが見えてきます。
日本語から英語に戻す
教科書本文の日本語訳を見て、英文に戻せるかを試します。書けなかった文は、もう一度音読からやり直します。「読める」から「書ける」へ進むための練習です。
保護者の方へ:家庭でできるサポート
- 英語が得意でなくても大丈夫です。教科書の音読を「聞き役」として聞くだけでも、毎日の練習のきっかけになります。
- テストの点数だけでなく、間違えた問題が「単語」「語順」「動詞の形」のどれによるものかを一緒に見てみてください。
- 上の年表で、お子さんの学年の一つ前の段階が身についているかを確かめると、つまずきの原因を見つけやすくなります。
つまずいたら、年表を一つ戻ろう
英語は積み重ねの教科です。今の単元がわからないときは、年表を一つ前に戻ると原因が見つかることがよくあります。毎日10分の音読と書き取りを続けることが、中学英語のいちばん確実な土台になります。
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